幼少期、両親は休日によくドライブに連れて行ってくれた。車の中、当時流行していた曲が流れると、心が躍り一緒に歌い、静かな時には、窓を少し開けて思いっきり深呼吸し、外の世界を眺めるのが何よりの楽しみだった。
ドライブの目的は観光、釣り、登山など様々だったが、特に祖父母の家に行くと知っているときは、車の中で胸の鼓動が高鳴ったことをよく覚えている。祖父母の家にいるだけでも心地よかった。
祖父の趣味は、絵画や木製の船の造形だった。
私は、祖父の作業机の椅子に腰掛け、机の上に置かれた様々な形の筆やパレット、今にも使い終わりそうなくたびれた絵具、スタンバイされているピンとした真新しい道具を、興味深々で見て触っていた。壁には祖父の作品がいくつか飾られており、私はそれらの絵を穴が開くほどじっくりと眺めたものだ。
特に気に入っていたのは、海の波が岩にあたり大きく水しぶきをあげている絵だった。波が今にも動き出しそうで迫力があり、時間を忘れてじっと眺めていた。その眺めている時間は、本当に心地よかった。また、木製の船の造形はまさに本物の船のようで、さらにペイントされたものは迫力を増し、今にも動き出しそうだった。美術館に飾ってあってもおかしくないクオリティで、趣味の領域を超越していた。祖父は職業として芸術家として活躍できたのではないかと思う。
祖父の影響もあり、小さい頃から工作や美術が好きだった。何かをゼロから作り上げていく工程や、作り上げた後の達成感がたまらなく、時間があればノートやコピー用紙にたくさんの絵を描いていた。学校でもしばしば表彰されたり、美術部の先生に声をかけてもらったことがあったが、その頃はスポーツに没頭していた。また、当時は勉強からの現実逃避の一部のように感じて、絵を描くことに罪悪感さえ抱いていた。祖父母は、私がまだ学生の時に若くして他界してしまい、祖父母の家に訪れることはできなくなった。祖父に絵画を習うことができなかった悔しさもあり、いつか大きなキャンバスを買って、私の作品をリビングに飾り、天国の祖父母に見てもらいたいと考えながら、その夢は達成されぬまま、いつのまにか私は大人になっていた。
大人になった今、
「私が祖父のように没頭できることは何だろう。」と考えるようになった。
私の好きなことの一つは、絵を描くことと並んで、旅行だ。旅行の醍醐味の一つは、カメラで写真を撮ることでもある。学生時代に結婚式のカメラマンのアルバイトをした経験があるおかげで、日本の風情ある街並みを散歩しながら写真を撮ることや、帰宅後にその写真を見返す時間も大好きだ。また、ご当地グルメを楽しみながら旅の疲れを癒すのも格別だ。さらには、海外に足を運んで異文化を直接体験し、日本とはまた違った美しさに心を奪われながら現地の料理を味わう時間は最高だ。その他にも、温泉や岩盤浴、サウナで汗を流すことも好きだが、すぐにのぼせてしまい、長居できないのが難点だ。
また、私は3歳頃からゲームに没頭していた。それは間違いなく兄の影響だ。兄は学校の成績が良く、両親からゲームを制限されることは滅多になかった。そのおかげで、私も自由にゲームを楽しむことができ、兄には心から感謝し、誰よりも尊敬していた。(今でも大尊敬している。)小さい頃は、全クリすることだけを目指して夢中になっていた。しかし、大人になって同じゲームをプレイすると、懐かしさを超えて「このエフェクトはかっこいいな、このキャラクターはどうやって作られているのだろう」とじっくり見入るようになり、今まで気づかなかった細部にまで目が行くようになった。ピクセルアートも簡単には作れない。当時流行していたゲームを制作していた人々に、今改めて神のような尊敬の念を抱くようになった。
両親は、小さい頃からクラシックバレエや水泳、新体操、英会話教室など様々な習い事をさせてくれた。そのおかげで、時間を忘れて没頭でき、精神面でも鍛えられ、この世界には様々なものにそれぞれ精通している人がいることを小さい頃から身をもって肌で感じ、認識できたことに深く感謝している。
いつしか、これらの経験を仕事に活かせないかと考えるようになった。自分の好きなことや没頭できることを仕事にしたいという思いがより一層強くなった。時間をかけて自分と向き合い、ようやく導き出した結果は、「ゲームをゼロから作り、小さい子供から大人まで幅広い年代の人々に時間を忘れるくらい楽しんでもらうこと」だった。
日本は、様々な分野で世界的にも有名だが、ゲームもその一つである。何十年も前に作られたゲームも、今になっても他の新しいゲームに劣ることなく素晴らしい作品が多い。このような偉大な先駆者に続き、私もこの業界の一員として加わりたい。これまでの人生で得た知識や経験を活かしながら、新しい技術を習得し、一人でも多くの人に楽しんでもらえる作品を没頭して作り上げたい。
私がこれまで生きてきた中で、「時間は有限」という言葉を何度も耳にした。きっと皆さんも何度も耳にしたことがあるのではないだろうか。有限だと分かっていても、ベッドやソファーでゴロゴロしているとあっという間に時間が過ぎる。やらなくてはいけないことを考えると余計に眠たくなる。何もせずだらだらと過ごした日の夜は後悔とまではいかないが、少し残念な気持ちになるのは私だけだろうか。
私にとって時間が経つのが遅いと感じるのは、自分がしたくないことをしているときだ。逆に、時間があっという間に過ぎてしまうのは、自分の好きなことをしているときや、何かに没頭しているときだ。
まずは行動あるのみ。今、この時間は二度と戻ってこない。幼少期のあの心地よい空間や時間も二度と戻ってこないのだ。
ということで、ようやく重い腰を上げて、私の成長過程を記録していくことも兼ねてブログを始めることに決めた。何かしら習慣を取り入れると人間は継続できると何かの本で読んだことがある。
ここにしっかりと、自分の夢を叶えるための軌跡を残していこう。
失敗してもいい。とにかく没頭してゲーム作りに励もう。
ということで、さっそくBlenderをインストール。
チュートリアルを見ながら、幼少期の思い出が詰まったスーパーファミコン風のコントローラーを作成することにした。使いこなせるようになるまでには時間がかかりそうだが、焦らず楽しく進めていこう。
どうか温かく見守っていてください。
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